自動車販売店

“お客さま思い”をどう伝えるのか

 仕事柄、新聞に折り込まれた自動車販売店のチラシは捨てずにすべて保管しています。07年は新車の売れ行き不調により、秋以降はニューモデルが多数登場します。これに、“アンコール展示会”告知もありますでので、週末の折り込み量はますます増えていきそうです。
Photo  新車の折り込みチラシは、国産車と輸入車ではデザインの趣向が違います。国産車の場合、掲載される情報量が多く、金額や買い方を示したプロモーション志向、輸入車になると車種が少ないこともあり、どちらかとえばブランドや車のイメージをメインとする訴求に落ち着いているようです。今日は、主に国産車のチラシについて考えてみます。
 販売店からすると、チラシは釣りのコマセのようなもので、とにかく広域に情報を拡散させて、関心を持った人が自店に来店いただければそれで大成功です。というのも顧客に対する代替促進が現在の営業の中心活動ですから、チラシを見て新規客の来場が増えれば、それはもう願ったり叶ったりです。
 新車の登場は繰り返されるマスメディアのCMで一定の認知ができているでしょうから、チラシでは興味関心に対して少しでも購入を意識して頂くようにと、価格(がリーズナブル)、お得(購入インセンティブ)を徹底するのは各社に共通しています。
 公正取引の観点から値引き○○円を声高に記載するわけにはいきません。販売正常化にワンプライス、という業界としての立場もあります。しかしオマケや景品については、景表法の範囲であれば自由競争ですから、メーカーや本部の懐具合に応じてメニューが決められています。
 私がコレクションしている東京湾岸エリアの朝日新聞折り込みチラシで言えば、新車購入のお礼の一環だからイベントとして華々しい方が喜ばれるだろうと、「豪華温泉旅行への招待」、「有名一流レストランでのディナー招待」といった企画を別にすれば、ほとんどは来場、査定・試乗、成約と商談のステップに応じて、車両に関連するパーツやメンテナンスグッズの進呈や割引装着となっています。
 しかし、実勢価格でなく販売店小売価格で5万円のパーツ類(コンソールボックや消臭グッズ等)やガラスシーラントのようなカーケア商品を提供することは、この不況期に数百万円の商品を購入いただき、あるいはこれから数年間は自店舗とのお付き合いをご納得されたお客さまに対する“ほんの心ばかりのモノ”として妥当なのでしょうか?お客さまを想ってのことだ、と自負できるでしょうか?

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 手を替え品を替え、しかし新車ラッシュで売り遅れ

 07年は東京モーターショー が開催されます。売れていない新車販売を活性させるチャンスとして、メーカー各社とも、今秋はモデルチェンジに積極的のようです。Chirasi

 「新車攻勢、勝負の秋 小型車、スポーツカー 販売低迷打破へ続々/かつてないほどの国内販売の低迷に直面する自動車各社が、今月下旬から秋にかけて、小型車やスポーツカーなどを相次ぎ投入する「新車攻勢」に出る。各社とも「今年は後半が勝負」と意気込んでおり、利幅の大きい登録車(排気量660cc超)を次々に発売して収益改善を目指す考えだ」(産経新聞、07年8月)。

 「自動車メーカー各社の新型車投入が07年後半に集中する。元気がなかった国内の自動車市場だが、販売関係者には「勝負は後半」との意気込みも出てきた。新型車効果で市場が活性化し、自動車が国内消費の「主役」に返り咲くことができるか注目される」(J-CASTニュース、07年7月)。 

 「日本自動車販売協会連合会(自販連) によると、登録車販売は1.9%減の22万7737台と、26カ月連続で前年割れとなった。商用車が軒並み2ケタ減になったものの、乗用車は0.8%増となった。7月の新潟県中越沖地震で供給が滞っていた受注分が上乗せされたほか、各社が6月末以降に新型車を相次ぎ投入した効果が出ている」(日本経済新聞、07年9月)。

 こうした新車投入効果がどこまで続くのでしょうか。私はかなり限定的だと感じています。目先が変わっただけで、簡単にユーザーが代替してくれる時代は終わっていることを、メーカーも販社も十分に認識しているはずです。
 簡単に車が売れない状況に対応して、店舗の空間改善や購入しやすいプラン、アフターマーケットの充実など、可能な限り“手を替え”てきました。
 そして車そのもののネーミングを替える、カテゴリーを改めるといった“品を替える”ことも熱心に続けてきました。
 それでも期待通りには(短期的に)売れてくれません。そこで、次々とモデルチェンジで関心と来店を集めようというわけですが、新車ラッシュはセールスタッフが商品知識を理解する時間を許しません。十分に理解しないままとにかくお客さまにお勧めする事態が許されるほど、お客さまの情報感度は甘くないのです。結局、せっかくの新車なのに“売り遅れ”てしまうことが起きてしまうのです。

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BMWとレクサス、「売れるサービス」の競争

Touyoukeizai_2  週刊『東洋経済』の8/11・18合併号では、「ニッポンで一番売れるサービス」として、進展する経済のサービス化の実情を、多様な業種・業態からの50の好事例・先端事例で概説した、わかりやすく勉強になる特集を組んでいました。発売元の東京経済新社のサイトを見ますと、特集記事だけでも購入できる「デジタルコンテンツショップ」があるようです。一読をお薦めします。
 成熟市場のビジネスでは、あらゆるシーンで、無形なもの、付加価値が勝負になっています。これを「(お客さま)サービス」と呼んでいるわけですが、その実践には「おもてなし」、「感動」、「システム化」、「ES」そして「改革」等がキーワードになる。簡単に言えば(乱暴ですが)これが特集の結論です。
 では、自動車販売業はどうなっているのでしょう。既にクルマを並べて売るだけの商売ではなく、ユーザーと長期間にわたるお付き合いから収益を得ていく、カーライフサポートのようなソフトサービスの商売に脱皮している(しつつある)のが実情でしょう。もちろん新車の販売店(輸入車と国産車でも違います)と中古車販売店では異なります。経営母体・経営者によっても温度差があって、自動車販売業のすべてに共通しているわけではありません。なので以下、新車の販売店を対象に議論してみたいと思います。

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